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晶馬受中心に、掌小説にすらならない指先小説やネタを放置する場所。
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うめ
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性別:
女性
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どうしようもない場所から来た何者にもなれない存在。晶馬くんが幸せならいいな!とか言いながら他の人の手を借りて彼を泣かしたりボコったりしている。支部でもちょこちょこ書いてます。呟きは@umeeee02
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前についったで妄想したDV冠晶。晶馬が冠葉をぼっこぼこにしてます。ので、苦手な方は御注意ください。最初の方でそのついったのログがあります。それを呼んで「うえええええ!うめ貴様ああああああ」ってなった方はリターン、「ひゃっほおおおいキタコレふうぃいいい!」ってなった方はそのまま読んでくださると嬉しいです。

*冠葉が晶馬のことを大好きなのが好きなのですが、晶馬が冠葉のことを好きすぎてどう扱っていいか分からず暴力に走ってしまうのも好きです。そんな晶馬を受け止めるぼろぼろ冠葉、我に帰った晶馬はそれを見て泣くのですな。冠葉は別にMではない。晶馬の愛だから受け止めるのです。他人なら倍返しです。冠葉の傷を見て一言でも「可愛そう」とか触ったりしてみなさい。女相手でもぶちきれますよ。

「触るな!」

そう怒鳴った後で微笑みながら傷に触れるのです。その幸せそうな顔といったら……誰もがきゅんとするでしょう。何度も言いますが、彼はMではない断じて。で、冠葉の傷がなおった頃にまた暴力ふるっちゃう。それが待ち遠しい冠葉とか……代わりに冠葉は晶馬にキスマつける。所有印の違い……


とかこういう妄想が形になりました。↓




 どうしても止められない。何度拳を止めようとしても、身体は言うことを聞かず心さえ蝕み彼を殴りつける。爪を切っていてよかった、と頭の片隅で思えることが唯一の救いだ。
 きっかけなんかない。衝動のままに身体は動く。
 動く、動く、動く。
 気がつくと、手に、赤が。
 一体これは誰のものだろうか。自分のものか、彼のものか。それとも、二つが雑ざったものだろうか。
 そう思った瞬間、ようやく身体は止まった。拳が解け、今まで掴んでいたものを離す。
 それは、兄貴の髪だった。
 いつも整えられている髪はぐしゃぐしゃで、もしかしたら何本か抜けてしまっているかもしれない。白い肌は赤く腫れており、既に青くなっている箇所もあった。どれほどの時間、こんなことをしていたのか。
 いつの間にか、部屋は暗くなっていた。月明かりが無ければ闇に近かっただろう。確か一緒に帰宅した時は、まだ部屋は橙色に染まっていたはずだ。
 そんな長い間、僕は彼を殴っていたのだ。
 兄貴を。
 慌てて彼の上から退き、電気を点け、棚の上にある救急箱を手に取った。

「……どうして」
「ん?」
「っ、どうして!どうして逃げないんだよ!」

 彼の頬にガーゼを当て、テープを貼りながらこう言うのはもう何度目になるだろうか。きっと両手じゃ足りない。
 僕と兄貴では一目瞭然、力の差は歴然としている。兄貴の方が断然強い。だから、こうなった僕を殴り、止めることは出来るはずなのだ。なのに、それをしない。一度として、僕を止めたことはない。
 泣きたくなるのを抑え込み、俯く。視界の端に彼の傷だらけの手が見える。これもきっと僕がやったのだ。
 彼を傷つけている最中は記憶が曖昧で、心の中はただ止めなければという感情と止めたくないという感情がぶつかり合っているだけだ。ぶつかり合っている間、体は、拳は、動き続ける。
 だから、止めてほしいのだ。
 外部の力で、兄貴の力で、僕を。
 請うように強く握った僕の手を、兄の手が掴む。傷ついている割には強く、しっかりと。
 そして、彼は僕の手を自身の口元まで持って行き、既に血が固まっている傷をぺろりと舐めて見せた。ちりっと、小さな痛みが襲う。

「当然だろう?お前の痛みは俺の痛み、お前の苦しみは俺の苦しみだ。だから、それを受け入れるのは当然なんだよ」

 次に兄貴はぐっと歯を立て、止まっていた血がゆっくりと溢れ出るのを見ると、もう一度舐めた。
 いつも彼はそうして、美しく笑う。だから僕はその度に、変な錯覚に陥るのだ。
 このままでもいいのだ、と。
 そんな歪んだ妄想を思い、笑いたくなる。
 でも、これは間違っている。絶対に、間違っているのだ。
 陽毬の眠る真っ白な部屋を訪ねる度、そのことをしっかりと自身に言い聞かせている所為か、その錯覚は静かに消え去り首を振る。

「こんなの、こんなの間違ってる。こんな……」

 それでも、彼はゆっくりとした動作で僕を引き寄せ、耳元で囁くのだ。

「何言ってるんだ。俺たちは『双子』だろ?」

 元々は一つだったんだ。同じ母親の胎内で眠っていた二人なんだ。だから、別に良いんだよ。
 そう続け、僕の背を撫でる彼に、ずっと言いたいことがある。
 僕たちに、血の繋がりはないことを。
 しかしこれを言えば、僕たちの間にある言葉に出来ない「何か」が壊れてしまうのは確かだ。
 それだけは嫌だった。
 だから僕は今日も、この言葉を飲み込んで、握られていない片手を彼の背に回す。

 その瞬間、兄貴が笑ったような気がした。

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