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晶馬受中心に、掌小説にすらならない指先小説やネタを放置する場所。
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どうしようもない場所から来た何者にもなれない存在。晶馬くんが幸せならいいな!とか言いながら他の人の手を借りて彼を泣かしたりボコったりしている。支部でもちょこちょこ書いてます。呟きは@umeeee02
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予定通り、オフ本を初めて出すことになりました。
をんさんとの合同本です。よろしくお願いいたします。

『Shangri-La Endroll』
A5 60p(表紙込) ¥700

8月10日・東地区“ニ”ブロック-25a「飴空」にて。

・内容↓

浮気性×一途パロ(小説)
→その名の通り、浮気性冠葉と一途な晶馬のお話。

十二国記パロ(漫画・小説)
→ここでも書いてます十二国記のパロです。王の冠葉と麒麟の晶馬。ほぼオールキャラでお送りしています。

腐男子晶馬パロ(小説)
→BL本が大好きな晶馬君のお話です。冠葉とは従兄弟設定。

商人×八百比丘尼パロ(漫画・小説)
→金持ち冠葉と八百比丘尼(だが男)の晶馬のシリアスな話。

晶馬きゅんきゃらパロ(漫画・小説)
→もし晶馬がきゅんきゃらくらいにちったくなってしまったら?というお話です。冠晶というより冠晶陽。

本気で全部パロパラ冠晶短編群で成り立っている妄想しかありません。
お付き合いしてくださったをんさんに本当に感謝です……!

また、こちらも予定通り、晶陽アンソロジー「愛してくれなきゃ駄目さ」に小説一本寄稿させていただきました。
同じく同日『飴空』にて販売なさるそうです。
当日は夏コミ初心者の私が売り子をしていると思われますが、全てが初めてなのであたふたぎゃあぎゃあしているかと思われます。その時はどうか生ぬるい眼差しで見守ってください。


続きから浮気×一途・きゅんきゃら・腐男子の冒頭部になります。

~浮気×一途~

 もう駄目だと思った。
 彼は社会人だ。人脈作りのために帰りが遅くなるのは仕方がない。夕食を済ませてくることも然りだ。僕が勝手にやっていたことだからと、作っておいた食事を彼に見つからないよう捨てることになっても我慢できた。見つからないように捨てていたのは、彼の帰りを楽しみに待っていたなんていう子どもっぽい人間だと思われたくなかったからだ。
 帰宅した彼から知らない香水の匂いがしてきても、きっとその人と近い場所に座っていたせいで付いてしまったのだと、自分に言い聞かせることでなんとかしてきた。そのことを言及したら、きっと煩いと嫌われてしまう。だから黙っていた。例え口紅が服についていたとしても、事故なのだと。
 でも、まさかこの家に連れてくるなんて。
 普段通り、誰もいないだろうと溜息をこぼしながら入った玄関に、乱雑に置かれた彼の靴と真っ赤なヒールが揃って並んでいた。まさか、そんなはずはない。きっとただの来客だ。そうして、気にしないように彼の靴を整えてから入ると、そこには誰もいなかった。
 そこ、リビングには。
 代わりに、彼の部屋から聞こえてきた甲高い声に目を瞑る。足から力が抜け落ちへたりと座り込んだまま、耳を塞いだ。
 マンションと言えど、一人で住むには充分過ぎる広さがある。都心にあり駅も近い。セキュリティもしっかりしている。そのため、かなりの値がついているが、ここは彼の実家が経営するマンションの一つらしく、家賃等は一切かかっていないと言っていた。
 そう。この家は彼の家だ。だから、彼が誰を連れてこようが仕方ない。
 けど。
 けど、僕と彼は恋人同士だったはずだ。

~きゅんきゃら~

 目の前に広がっていたのは闇だった。
 おかしい。僕の体内時計ではもう朝を迎えている。すぐに着替えて朝市に行かなければならないはずだ。しかし、まだ暗い。真っ暗だ。夜なのか、と思いつつ起き上がると、もぞりと頭に何かが当たった。全く身に覚えがない。兄貴に悪戯でもされたのだろうか。それに、どうやら自分は何もかけていないらしい。掛け布団が見当たらないのだ。寝ている途中ではいでしまったのだろうか。それほど寝相は悪くないはずなのだけど。
 とりあえず頭の上に乗っかった何かをどかそうとしたのだが、それは思った以上に大きいらしい。どんなに手を伸ばしてもその端っこは見つからないし、ばたばたと全身で動いてみても落ちていかない。ぴくりともしない。
 おかしい。何か嫌な予感がする。
 一体自分の身に何が起こっているのだろう。分からない。
 そんな時、闇の向こうから陽毬の声がした。
「冠ちゃん、起きて!もう朝だよ、学校だよ!」
 やはり、もう朝のようだ。体内時計は狂っていなかった。しかし僕がいるここには一切の光が見えない。
「ん……しょう、まは?」
 兄貴の声だ。僕が起こしてもなかなか起きないくせに、陽毬だとすぐに起きるのだ。以前このことを問いただしたら「嫁みたいだから、つい」とよく分からないことを言われた。僕は嫁でもないしそもそも女の子ですらない。
 それにしても、本当にどういうことだろう。兄貴は今、確かに僕の名前を呼んだ。でもそれは疑問系だった。まるで、そこに僕がいないかのように。冗談にしてはタチが悪い。この頭の上のモノも、だけど。
「兄貴!ちゃんと僕はいるだろ!」
「……は?」
「晶、ちゃん?いるの?」
 どこに、だなんて。なんてことだ、陽毬まで同じようなことを。
「ここだよ!」
 と、言っても僕自身ここがどこだか分かっていない。声を出してみて思ったのだが、何やら部屋の中にいるような感じがする。声がくぐもっているような。
 一体僕はどこにいるんだろう。闇の向こうから、がさがさと何かを漁る音が聞こえる。
「どこだよ?」
「冠ちゃん、流石にゴミ箱にはいないと思うよ。晶ちゃん、もう一回返事して!」
 兄貴の奴。どうしてそんなところを探すんだ。もしかしたら、そんなおかしなことをしてしまうくらい焦っているのだろうか。
 だとしたら、少し嬉しい。心配してくれているのだと実感できる。
「ここ!」
 もう一度、今度はありったけの声で叫んだ。すると、ばっと。今まで僕の頭上を覆っていた闇が取り払われた。
 そこに、いたのは。
「で、でかっ……?」
 なんと、体が大きい兄と妹だった。
 二人は数秒ぽかんと口を開いたまま僕を見下ろした後、兄貴は持っていた掛け布団を落とし、陽毬は紅潮した頬に手を当て叫んだ。
「しょ、しょう、ま?」
「可愛いーッ!」
 その声の大きさにびっくりして、尻餅をついてしまう。ぽてん、と軽い音がしたのはどういうことだろう。どうして二人は大きくなっているのだろう。すると、二人の声に反応してやってきたらしいペンギンたちがぺたぺたとこちらにやってきた。
 近付いてくる奴らの、その、大きさといったら。
「ま、まさか」
 考えたくはないが、どうやらそのまさかのようである。じーっと僕を見下ろす六つの丸い目が酷く怖い。さっと、どこからともなく二号がスプレー缶を取り出した。

~腐男子晶馬~

 ずっと探していた本をようやく見つけて階段を下りる。相変わらず細く狭い階段だ。しかし、そうでもしないと売り場が狭くなってしまうのだろう。それは僕としても困るので我慢する。
 ふと、途中に貼ってあるポスターを見上げた。それは最近人気急上昇のゲームがアニメ化されるので、それを祝って盛り上げようというイベント予告のポスターだ。期間中そのゲームの関連商品を買うと、ポストカードが貰えるらしい。そのゲームはずっと僕がやりたいと思っていたものだ。しかし、生憎我が家にはゲーム機がない。例えあったとしても、家族と共に暮らしている家では出来ないような代物なので出来ない。そんな僕からしてみれば、アニメ化は大賛成だ。
 一体どんな内容なのだろう。シナリオはなんとなく知っているが、全ては知らない。某動画サイトで実況など見られたらよかったのだが、パソコンはたった一台、それも家族共有のものでリビングに置いてある。見られるはずがない。もちろん、アニメ化によってその全てのシナリオを見られるとは思っていないし、もしかしたらエンディングに向かうに連れてゲームにはないオリジナルストーリーが繰り広げられる可能性があることも理解している。しかし、このアニメ会社の評判はなかなかのもので――
「っと、いけない。早く行かないと」
 暫くすると、近くのスーパーでセールが行われる。これを逃すわけにはいかない。本当はもっと品定めをしたかったのだが、この趣味は家族にも友人にも誰にも言っていない秘密だ。だから、食料を買いに行って帰宅が遅くなったという証拠が必要になる。決してこの店にいたことがバレないようにしないといけない。足を動かし、階段を下りきったところで例のポスターをもう一度見る。
「……不満としては彼と彼の絡みが少ないところかな」
 アニメではもっと彼らが絡んでくれることを祈り、その店を後にした。
 そう、僕はゲーマーでもアニヲタでもない。
 腐っている男子、略して腐男子だ。
 ボーイズラブ、所謂BLが好きな男子。それが僕だ。だからといって別に男の人が好きとかそういうことは一切ない。ただそのジャンルが好きなのであって、あんな恋がしたいと思って憧れ、好んでいるわけでは断じてない。と、僕が言っても信じてくれる人は少ないだろうが。
 何故なら、僕の恋人は男だからだ。しかも、戸籍上は「兄」となった従兄弟ときている。

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