晶馬受中心に、掌小説にすらならない指先小説やネタを放置する場所。
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うめ
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女性
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どうしようもない場所から来た何者にもなれない存在。晶馬くんが幸せならいいな!とか言いながら他の人の手を借りて彼を泣かしたりボコったりしている。支部でもちょこちょこ書いてます。呟きは@umeeee02
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支部にあげた眞晶の続きみたいな、そんなコネタ。
後日談みたいな、そんなもの。
もっと色気があってもよかったんですけどね。
後日談みたいな、そんなもの。
もっと色気があってもよかったんですけどね。
ベッドにうつぶせになり、顔だけを彼に向けている。
視界の端で揺れる桃色。硝子のように透き通っていて美しい。触れたら消えてしまいそうで、それでも触れてみたくて。
そっと手を伸ばしたら、掌が現れて、掴まえられてしまった。ぎゅっと、指と指の間に、彼の指が入り込んでくる。貝殻つなぎ、と言っただろうか。
覗き込んできた瞳は赤い。熟れた林檎のように赤く、甘いにおいがする。
「起きたのかい?」
「……はい」
「そう、それはよかった」
口元が弧を描く。それと同時に掌は離れていった。せっかく気持ちよかったのに、残念と思ったのが顔に出てしまったのだろうか。クスッと笑われてしまった。
それから、髪にキスをされる。次に耳、頬、瞼の上、額。そして。
唇。
僕がここに来て以来、この順番は全く変わっていない。どれも優しく、羽根のように軽いキス。
とてもとても温かい。
けど、何かが足りない。
――――分かってる。それが何なのかは。
けど、それを思い出してはいけない。だって僕は、もう。
高倉家にはいないのだから。
冠葉という兄も、陽毬という妹も、ここにはいない。
ここには彼と、彼の助手の二人しかいないんだ。
そう、この世界は僕らだけ。
彼らはここにいては、いけないんだ。
「ねぇ、先生」
「……なんだい?」
それでも、今日も僕は彼に問う。
「これで、皆は幸せになれたかな?」
「ああ、勿論。きっと幸せに暮らしているよ」
そうやって今日も返されるその言葉に、少しの虚しさを感じながら。
視界の端で揺れる桃色。硝子のように透き通っていて美しい。触れたら消えてしまいそうで、それでも触れてみたくて。
そっと手を伸ばしたら、掌が現れて、掴まえられてしまった。ぎゅっと、指と指の間に、彼の指が入り込んでくる。貝殻つなぎ、と言っただろうか。
覗き込んできた瞳は赤い。熟れた林檎のように赤く、甘いにおいがする。
「起きたのかい?」
「……はい」
「そう、それはよかった」
口元が弧を描く。それと同時に掌は離れていった。せっかく気持ちよかったのに、残念と思ったのが顔に出てしまったのだろうか。クスッと笑われてしまった。
それから、髪にキスをされる。次に耳、頬、瞼の上、額。そして。
唇。
僕がここに来て以来、この順番は全く変わっていない。どれも優しく、羽根のように軽いキス。
とてもとても温かい。
けど、何かが足りない。
――――分かってる。それが何なのかは。
けど、それを思い出してはいけない。だって僕は、もう。
高倉家にはいないのだから。
冠葉という兄も、陽毬という妹も、ここにはいない。
ここには彼と、彼の助手の二人しかいないんだ。
そう、この世界は僕らだけ。
彼らはここにいては、いけないんだ。
「ねぇ、先生」
「……なんだい?」
それでも、今日も僕は彼に問う。
「これで、皆は幸せになれたかな?」
「ああ、勿論。きっと幸せに暮らしているよ」
そうやって今日も返されるその言葉に、少しの虚しさを感じながら。
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