晶馬受中心に、掌小説にすらならない指先小説やネタを放置する場所。
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どうしようもない場所から来た何者にもなれない存在。晶馬くんが幸せならいいな!とか言いながら他の人の手を借りて彼を泣かしたりボコったりしている。支部でもちょこちょこ書いてます。呟きは@umeeee02
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ハッピーハロウィン!
七つの大罪のうち色欲をテーマ。
最初はデッド・オア・デッドとかいう晶ちゃん見たいなと思ったんですけど、だんだんと冠ちゃんにあの台詞を流暢に言って欲しくてこうなりました。やっぱ色気がないと駄目ですよねって、私の文章じゃそれを存分に出し切れませんでした。
色気しかない双子、誰かかいてよ!!かいてよ!!ガタガタガタガタ
七つの大罪のうち色欲をテーマ。
最初はデッド・オア・デッドとかいう晶ちゃん見たいなと思ったんですけど、だんだんと冠ちゃんにあの台詞を流暢に言って欲しくてこうなりました。やっぱ色気がないと駄目ですよねって、私の文章じゃそれを存分に出し切れませんでした。
色気しかない双子、誰かかいてよ!!かいてよ!!ガタガタガタガタ
今日は十月三十一日。トリック・オア・トリートという言葉が飛び交う日だ。
朝目覚めてまず、僕より先に起きていた陽毬が蒲団の上に飛び乗ってきた。
「お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ!!」
がおー、と何かの獣の真似をしながらのそれはものすごく可愛くて、これが山下のよく言う萌えというものなのかなと思ったが、きっとこれはそれ以上のものに違いない。
こういうこともあろうかと、昨夜のうちに作っておいた手作りのクッキーが入った缶を渡す。すると、一瞬しょんぼりとしてしまったものの、ぱかりと中身を開けると同時、瞳を輝かせた。これは陽毬のために作ったもので、我が家に住み着くペンギンたちを象ったものと星型のものを入れてある。喜んでくれたようで何よりだ。ほっと胸を撫で下ろすと、陽毬がぎゅうっと「ありがとう!晶ちゃん大好き!!」と抱きついてきた。これが山下のよく言う萌え死にというやつなのだろうか。でもきっと、これはそれ以上のものに違いない。
陽毬は今日、夕方から荻野目さん家に遊びに行くことになっている。何でも、ハロウィンパーティーをするのだそうだ。だから荻野目さん用にリンゴ型のクッキーと、二人用に作ったパウンドケーキを出かけるときに持っていくよう陽毬に伝え、家を出た。今日の夕飯は二人分だ。ちなみに兄貴は今日も遅刻である。
今日は山下に会わなかったな、と思いながら教室の扉を開けると「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ!」とカーテンを纏った何かが襲ってきた。声で分かる。山下だ。会わなかったのはこのためか、と溜息をこぼしながらもカバンから山下用のクッキーを取り出す。彼に可愛さはいらないだろうと思ってただのチョコチップクッキーにした。
ほら、とカーテンの中から出てきた山下に渡すと、彼はうるうると瞳を揺らして抱きついてきた。
「ありがとう!俺の昼飯!」
はいはい、と背中を叩いてあげる。するとでれー、と気持ち悪い笑みを見せたので頭を殴ってやった。気持ち悪い。
その後、山下は騒ぎを聞きつけ何事かとやってきた教師に「カーテンを勝手に取らないように」と注意を受けていた。当然だ。
てっきり昼休みに何か言ってくると思っていた兄貴は何も言わず、ただ一緒に弁当を食べただけで終わった。せっかく兄貴用にクッキーを持ってきていたというのに。だからといってこちらから渡すのもあれだし、と思って帰り道を歩いていると、前方から見覚えのある少年たちが現れた。
「トリート・オア・トリート!!」
「お菓子をくださいお菓子を!!」
確か陽毬の主治医、渡瀬先生の傍にいる二人だ。ぴょんぴょんとうさぎのように跳ね、一心に僕を見つめている。
どうしてそんなにお菓子が欲しいのか、というか、言う台詞おかしくないか。
そう思いながらも、せっかくなので兄貴に渡すはずだったものをあげた。どうせ家にはまだ残っているし、それでいいだろう。
二人はクッキーを見るや否や飛びついてきて「ありがとうございます!」「どうもありがとう!」とお礼を言って去っていった。結局、どうしてそんなにお菓子が欲しかったのかは聞けずじまいのままである。
帰宅すると、珍しいことに兄貴が先に帰っていた。その隣にクッキーを入れていた缶があり、中身は空っぽになっているらしい。近くにはペンギンたちが腹を膨らませて眠っており、どうやら全てを三羽と一人で食べたようだった。勝手に食べたことは少しむっとしたが、最初からあげようとしていた相手だし、兄貴だし。仕方ないか。
「ただいま」
「おかえり」
くるりと顔だけ振り向いた兄貴はそう言って「クッキー食った」と空っぽの缶をひらひらと見せる。
「どうだった?」
「甘さが丁度よかった。俺のだろ」
「うん。陽毬や荻野目さん、山下には別のをあげたから」
「……へぇ。陽毬以外にもやったのか」
「そうだけど……何?」
「別に」
むすっと唇を尖らせる兄貴に、首をかしげる。一体何が不満なのだろうか。
考えても分からないので、とりあえずカバンを置き、制服を脱ぐ。既にかけられている兄貴の制服の隣にハンガーをかけ、ベストも脱ごうとした瞬間、「晶馬」とすぐ後ろから兄貴の声がして吃驚した。
「うわっ、いつの間に後ろに!」
「お前はほんと、鈍いな」
「う、うるさいなっ!で、用事は!?」
すると、兄貴は一つのキャンディを差し出してきた。桃色の可愛いセロハンにくるまれている。PEACH、と書かれているので桃の味がするのだろう。
「何?それ」
「そういえばお前にまだ菓子をやってなかったと思ってな。お兄ちゃんからのプレゼントだ」
ほれ、とさらに伸ばされた手の上にあるキャンディを取る。
たった一つ。されどこれは兄貴から貰ったものだ。
これが他の誰かからだったら微妙と言いたいところだが、兄貴からだと「まあいっか」と思ってしまうのだから僕は相当頭がおかしいらしい。
「ありがと」
女々しくも取っておこう、とひとまずポケットの中に入れようとした。しかし、兄貴がその手を取って阻む。まさか今更やっぱりやめるとでも言うのだろうか。もしそうなら今度は文句を言ってやろう。
眉を顰めて彼を見ると、にっこりと笑って僕の手からキャンディを取り上げた。「あ!」と驚いている間にも、兄貴は包み紙を外して中身を出してしまう。
「何するん」
「今食え」
だ、と口を開けた瞬間、ぽん、と中に入れられてしまった。
ごろりと口の中に入り、融けていく飴玉。予想通り、桃の味がする。
「美味いか?」
「……うん」
確かに美味しい、が、僕としては食べたくなかったわけで。
腹が立ったのでそのことを言って、責めようとした、のだけど。
「………え?」
突然、体の力が抜け、倒れそうになったところを兄貴が助けてくれた。
何だ、これは。
支えるようにして腰に当てられていた手が意思を持ち、背を這う。途端、ぞくりと体が震え、耳をふさぎたくなるような高い声が勝手に出て行った。
「い……やぁ……」
恥ずかしい。けれど抑えられない。
服が邪魔だと思うくらい、体温が上がっている。熱い。こんなことなら早いとこベストを脱いでおくべきだった。
耳元で吐かれた兄貴の息にすら、感じてしまう。
「うぁ!……ぁに、き……やめっ」
「さすが即効性……効果は抜群ってか」
何か兄貴が言っている。しかし、それをとらえられるほど脳味噌が正常に機能していない。
そっと頬が撫でられ、流れるように耳へ、肩へと落ちていく。
白い指が、温かい体温が、静かに。
見えない線を辿るように。
触られているだけなのに、そこからさらに熱が溢れ出し、声が漏れる。
ただ、ただ。
この熱さを何とかして欲しい。
「あっ……!」
この体の芯から湧き上がってくる欲望を。
この苦しみを。
「はっ……うぅ……」
たすけて。
おねがい。
誰に?
決まっている。
「かんっ……ばぁっ!」
彼の首に腕を巻きつけ、キスを強請る。なのに冠葉は、肝心の唇には触れもせず、額や頬にばかりに落とすのだ。
ちゅっ、と音がする度に、変な声が出てしまった。
「ひっ…ん!」
「なあ、晶馬……Trick and Treat?」
何やら流暢な言葉が耳を抜けていく。異国語だ、としか分からない。発音が、綺麗と言うか、それよりも、酷く艶かしい。
見上げると、冠葉は静かに笑っていた。しかし瞳はギラギラと熱く輝き、まるで獲物を狙う獣の様だ。
その瞳が、僕に拒否権を与えない。意味も分からぬまま、僕はうんうんとひたすら頷いた。
そうしてやっと、望んだ口付けが唇に与えられる。僕は歓喜に打ち震えながら必死に舌を動かし、冠葉の舌を追いかけた。
更に、シャツの下に潜った手が与える愛撫に、もう何も考えられなくなって。
それから。
――――目が覚めたのは翌朝、陽毬が帰ってきた頃だった。
朝目覚めてまず、僕より先に起きていた陽毬が蒲団の上に飛び乗ってきた。
「お菓子をくれなきゃ悪戯しちゃうぞ!!」
がおー、と何かの獣の真似をしながらのそれはものすごく可愛くて、これが山下のよく言う萌えというものなのかなと思ったが、きっとこれはそれ以上のものに違いない。
こういうこともあろうかと、昨夜のうちに作っておいた手作りのクッキーが入った缶を渡す。すると、一瞬しょんぼりとしてしまったものの、ぱかりと中身を開けると同時、瞳を輝かせた。これは陽毬のために作ったもので、我が家に住み着くペンギンたちを象ったものと星型のものを入れてある。喜んでくれたようで何よりだ。ほっと胸を撫で下ろすと、陽毬がぎゅうっと「ありがとう!晶ちゃん大好き!!」と抱きついてきた。これが山下のよく言う萌え死にというやつなのだろうか。でもきっと、これはそれ以上のものに違いない。
陽毬は今日、夕方から荻野目さん家に遊びに行くことになっている。何でも、ハロウィンパーティーをするのだそうだ。だから荻野目さん用にリンゴ型のクッキーと、二人用に作ったパウンドケーキを出かけるときに持っていくよう陽毬に伝え、家を出た。今日の夕飯は二人分だ。ちなみに兄貴は今日も遅刻である。
今日は山下に会わなかったな、と思いながら教室の扉を開けると「お菓子をくれなきゃ悪戯するぞ!」とカーテンを纏った何かが襲ってきた。声で分かる。山下だ。会わなかったのはこのためか、と溜息をこぼしながらもカバンから山下用のクッキーを取り出す。彼に可愛さはいらないだろうと思ってただのチョコチップクッキーにした。
ほら、とカーテンの中から出てきた山下に渡すと、彼はうるうると瞳を揺らして抱きついてきた。
「ありがとう!俺の昼飯!」
はいはい、と背中を叩いてあげる。するとでれー、と気持ち悪い笑みを見せたので頭を殴ってやった。気持ち悪い。
その後、山下は騒ぎを聞きつけ何事かとやってきた教師に「カーテンを勝手に取らないように」と注意を受けていた。当然だ。
てっきり昼休みに何か言ってくると思っていた兄貴は何も言わず、ただ一緒に弁当を食べただけで終わった。せっかく兄貴用にクッキーを持ってきていたというのに。だからといってこちらから渡すのもあれだし、と思って帰り道を歩いていると、前方から見覚えのある少年たちが現れた。
「トリート・オア・トリート!!」
「お菓子をくださいお菓子を!!」
確か陽毬の主治医、渡瀬先生の傍にいる二人だ。ぴょんぴょんとうさぎのように跳ね、一心に僕を見つめている。
どうしてそんなにお菓子が欲しいのか、というか、言う台詞おかしくないか。
そう思いながらも、せっかくなので兄貴に渡すはずだったものをあげた。どうせ家にはまだ残っているし、それでいいだろう。
二人はクッキーを見るや否や飛びついてきて「ありがとうございます!」「どうもありがとう!」とお礼を言って去っていった。結局、どうしてそんなにお菓子が欲しかったのかは聞けずじまいのままである。
帰宅すると、珍しいことに兄貴が先に帰っていた。その隣にクッキーを入れていた缶があり、中身は空っぽになっているらしい。近くにはペンギンたちが腹を膨らませて眠っており、どうやら全てを三羽と一人で食べたようだった。勝手に食べたことは少しむっとしたが、最初からあげようとしていた相手だし、兄貴だし。仕方ないか。
「ただいま」
「おかえり」
くるりと顔だけ振り向いた兄貴はそう言って「クッキー食った」と空っぽの缶をひらひらと見せる。
「どうだった?」
「甘さが丁度よかった。俺のだろ」
「うん。陽毬や荻野目さん、山下には別のをあげたから」
「……へぇ。陽毬以外にもやったのか」
「そうだけど……何?」
「別に」
むすっと唇を尖らせる兄貴に、首をかしげる。一体何が不満なのだろうか。
考えても分からないので、とりあえずカバンを置き、制服を脱ぐ。既にかけられている兄貴の制服の隣にハンガーをかけ、ベストも脱ごうとした瞬間、「晶馬」とすぐ後ろから兄貴の声がして吃驚した。
「うわっ、いつの間に後ろに!」
「お前はほんと、鈍いな」
「う、うるさいなっ!で、用事は!?」
すると、兄貴は一つのキャンディを差し出してきた。桃色の可愛いセロハンにくるまれている。PEACH、と書かれているので桃の味がするのだろう。
「何?それ」
「そういえばお前にまだ菓子をやってなかったと思ってな。お兄ちゃんからのプレゼントだ」
ほれ、とさらに伸ばされた手の上にあるキャンディを取る。
たった一つ。されどこれは兄貴から貰ったものだ。
これが他の誰かからだったら微妙と言いたいところだが、兄貴からだと「まあいっか」と思ってしまうのだから僕は相当頭がおかしいらしい。
「ありがと」
女々しくも取っておこう、とひとまずポケットの中に入れようとした。しかし、兄貴がその手を取って阻む。まさか今更やっぱりやめるとでも言うのだろうか。もしそうなら今度は文句を言ってやろう。
眉を顰めて彼を見ると、にっこりと笑って僕の手からキャンディを取り上げた。「あ!」と驚いている間にも、兄貴は包み紙を外して中身を出してしまう。
「何するん」
「今食え」
だ、と口を開けた瞬間、ぽん、と中に入れられてしまった。
ごろりと口の中に入り、融けていく飴玉。予想通り、桃の味がする。
「美味いか?」
「……うん」
確かに美味しい、が、僕としては食べたくなかったわけで。
腹が立ったのでそのことを言って、責めようとした、のだけど。
「………え?」
突然、体の力が抜け、倒れそうになったところを兄貴が助けてくれた。
何だ、これは。
支えるようにして腰に当てられていた手が意思を持ち、背を這う。途端、ぞくりと体が震え、耳をふさぎたくなるような高い声が勝手に出て行った。
「い……やぁ……」
恥ずかしい。けれど抑えられない。
服が邪魔だと思うくらい、体温が上がっている。熱い。こんなことなら早いとこベストを脱いでおくべきだった。
耳元で吐かれた兄貴の息にすら、感じてしまう。
「うぁ!……ぁに、き……やめっ」
「さすが即効性……効果は抜群ってか」
何か兄貴が言っている。しかし、それをとらえられるほど脳味噌が正常に機能していない。
そっと頬が撫でられ、流れるように耳へ、肩へと落ちていく。
白い指が、温かい体温が、静かに。
見えない線を辿るように。
触られているだけなのに、そこからさらに熱が溢れ出し、声が漏れる。
ただ、ただ。
この熱さを何とかして欲しい。
「あっ……!」
この体の芯から湧き上がってくる欲望を。
この苦しみを。
「はっ……うぅ……」
たすけて。
おねがい。
誰に?
決まっている。
「かんっ……ばぁっ!」
彼の首に腕を巻きつけ、キスを強請る。なのに冠葉は、肝心の唇には触れもせず、額や頬にばかりに落とすのだ。
ちゅっ、と音がする度に、変な声が出てしまった。
「ひっ…ん!」
「なあ、晶馬……Trick and Treat?」
何やら流暢な言葉が耳を抜けていく。異国語だ、としか分からない。発音が、綺麗と言うか、それよりも、酷く艶かしい。
見上げると、冠葉は静かに笑っていた。しかし瞳はギラギラと熱く輝き、まるで獲物を狙う獣の様だ。
その瞳が、僕に拒否権を与えない。意味も分からぬまま、僕はうんうんとひたすら頷いた。
そうしてやっと、望んだ口付けが唇に与えられる。僕は歓喜に打ち震えながら必死に舌を動かし、冠葉の舌を追いかけた。
更に、シャツの下に潜った手が与える愛撫に、もう何も考えられなくなって。
それから。
――――目が覚めたのは翌朝、陽毬が帰ってきた頃だった。
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