晶馬受中心に、掌小説にすらならない指先小説やネタを放置する場所。
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うめ
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どうしようもない場所から来た何者にもなれない存在。晶馬くんが幸せならいいな!とか言いながら他の人の手を借りて彼を泣かしたりボコったりしている。支部でもちょこちょこ書いてます。呟きは@umeeee02
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タイトル通り。冠葉と陽毬が晶馬にキスを強請る話。
冠晶陽。その名も高倉戦略。
冠晶陽。その名も高倉戦略。
最近、我が家に猫が来るようになった。
「可愛いなあ……」
普段通り、僕の膝の上にちょこんと座る。そこがこの子にとって定位置らしい。
喉を撫でるとゴロゴロ鳴き、指を離すともっと撫でてくれと頭をすり寄せてくる。
もふもふ、ふわふわ。にゃーにゃー。
どうして我が家に来るようになったのかは分からないが、もしかしたらこの辺には猫があまりいないから、一人で寂しいのかもしれない。その気持ちはよく分かる。
今、僕は一人で留守番をしている。先ほど洗濯物を全て干し終えたところだ。二人は買い物に行ってもらっている。二人は僕もと言ったのだが、断った。家を守ろうと苦労している兄のため、陽毬と二人きりの時間を作ってあげたいと思ったのだ。
兄貴は陽毬が好きで、陽毬もきっと兄貴が好き。いいことじゃないか。
二人がいればそこは完璧な世界。そこに、僕はいらない。
「……なんてね」
一人笑った僕に、首を傾げる猫。まあるい目が僕を映して離さない。
金色の、目。
ぎゅうっと抱きしめると、普通なら暴れてもおかしくないのに、にゃあ にゃあと鳴くだけで抵抗はしない。それだけ心を許してくれているらしい。
あたたかい。可愛い。お金があればこの子を飼ってあげたい。
そう、頭にキスを送りながら考えていた時だった。
「あー!!」
買い物から二人が帰ってきたのだ。
兄貴は持っていたビニール袋を床に落とし、陽毬は猫を指差しながら声をあげた。兄貴が落としたビニールには卵は入っていなかったようだ。よかった、と安心したのも束の間、陽毬は袋をきちんと静かに床に置いてから「晶ちゃん!」と眉を吊り上げてすたすたと僕の隣まで歩いてきた。そしてすとんと座る。ふわりと水色のスカートが膨らんで、どういうわけか、彼女の頬も膨らんだ。
「今、ちゅーした」
「え?」
「この子にちゅーしたでしょ」
まさか見られていたなんて。恥ずかしくて目を逸らす。
「私には全然してくれないのに」
「え、えっと……それは」
「いってきますもただいまもおやすみもおはようも、前はしてくれたのに」
「いや、だからそれはその、小さかったからで」
確かに昔はしていたが、今はもう大きい。僕も少し恥ずかしいし、何より陽毬は女の子だ。こういうのはしない方がいいだろうと、陽毬のことを思ってやめたのだった。
だからまさか、こんなことになるなんて。
「…………ずるい」
「え」
「ずるい!私も晶ちゃんにちゅーしてもらいたい!」
そして誰がこんなことを言われると予想しただろうか。思わず抱いていた猫を落としてしまった。でも流石猫。何事も無かったかのように体勢を立て直し、無事地面に着地した。そのまま、トトトトとどこかへ消えてしまう。空気を読んだのか、面倒ごとに巻き込まれたくなかったのか。恐らくどちらもだと思う。僕だって逃げ出せるなら逃げ出したい。
「晶ちゃん?」
「……はい」
しかし、そうはさせてくれないのが我らがお姫様だ。
じとり、と睨まれている。
「晶馬」
しかも視線が一つ増えた。
いつの間に来ていたのだろう。兄貴は陽毬とは反対側で、ヤンキー座りで僕を陽毬と同じような瞳で僕を見ていた。
挟まれた。
「晶ちゃん」
「う」
「晶馬」
「うう」
ああ、もう、これは。
やらなければずっとこの状態に違いない。
この二人は変なところでそっくりなんだから。
「……おかえりなさい」
ちゅ、と陽毬のおでこと兄貴の頬にキスを贈った。
「ただいま」と二人の声が家に響き渡る。
「可愛いなあ……」
普段通り、僕の膝の上にちょこんと座る。そこがこの子にとって定位置らしい。
喉を撫でるとゴロゴロ鳴き、指を離すともっと撫でてくれと頭をすり寄せてくる。
もふもふ、ふわふわ。にゃーにゃー。
どうして我が家に来るようになったのかは分からないが、もしかしたらこの辺には猫があまりいないから、一人で寂しいのかもしれない。その気持ちはよく分かる。
今、僕は一人で留守番をしている。先ほど洗濯物を全て干し終えたところだ。二人は買い物に行ってもらっている。二人は僕もと言ったのだが、断った。家を守ろうと苦労している兄のため、陽毬と二人きりの時間を作ってあげたいと思ったのだ。
兄貴は陽毬が好きで、陽毬もきっと兄貴が好き。いいことじゃないか。
二人がいればそこは完璧な世界。そこに、僕はいらない。
「……なんてね」
一人笑った僕に、首を傾げる猫。まあるい目が僕を映して離さない。
金色の、目。
ぎゅうっと抱きしめると、普通なら暴れてもおかしくないのに、にゃあ にゃあと鳴くだけで抵抗はしない。それだけ心を許してくれているらしい。
あたたかい。可愛い。お金があればこの子を飼ってあげたい。
そう、頭にキスを送りながら考えていた時だった。
「あー!!」
買い物から二人が帰ってきたのだ。
兄貴は持っていたビニール袋を床に落とし、陽毬は猫を指差しながら声をあげた。兄貴が落としたビニールには卵は入っていなかったようだ。よかった、と安心したのも束の間、陽毬は袋をきちんと静かに床に置いてから「晶ちゃん!」と眉を吊り上げてすたすたと僕の隣まで歩いてきた。そしてすとんと座る。ふわりと水色のスカートが膨らんで、どういうわけか、彼女の頬も膨らんだ。
「今、ちゅーした」
「え?」
「この子にちゅーしたでしょ」
まさか見られていたなんて。恥ずかしくて目を逸らす。
「私には全然してくれないのに」
「え、えっと……それは」
「いってきますもただいまもおやすみもおはようも、前はしてくれたのに」
「いや、だからそれはその、小さかったからで」
確かに昔はしていたが、今はもう大きい。僕も少し恥ずかしいし、何より陽毬は女の子だ。こういうのはしない方がいいだろうと、陽毬のことを思ってやめたのだった。
だからまさか、こんなことになるなんて。
「…………ずるい」
「え」
「ずるい!私も晶ちゃんにちゅーしてもらいたい!」
そして誰がこんなことを言われると予想しただろうか。思わず抱いていた猫を落としてしまった。でも流石猫。何事も無かったかのように体勢を立て直し、無事地面に着地した。そのまま、トトトトとどこかへ消えてしまう。空気を読んだのか、面倒ごとに巻き込まれたくなかったのか。恐らくどちらもだと思う。僕だって逃げ出せるなら逃げ出したい。
「晶ちゃん?」
「……はい」
しかし、そうはさせてくれないのが我らがお姫様だ。
じとり、と睨まれている。
「晶馬」
しかも視線が一つ増えた。
いつの間に来ていたのだろう。兄貴は陽毬とは反対側で、ヤンキー座りで僕を陽毬と同じような瞳で僕を見ていた。
挟まれた。
「晶ちゃん」
「う」
「晶馬」
「うう」
ああ、もう、これは。
やらなければずっとこの状態に違いない。
この二人は変なところでそっくりなんだから。
「……おかえりなさい」
ちゅ、と陽毬のおでこと兄貴の頬にキスを贈った。
「ただいま」と二人の声が家に響き渡る。
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